ところで、みなさんは単位制がどこの国の大学にもある普遍的な制度であると思っていませんか?それは大きな間違いです。過去はもちろんのこと、現在でもイギリスの伝統的な大学(アカデミックなレベルの高い大学)は単位制を採用していません。中間試験と卒業試験があるだけです。寿司職人がいくら単位を積み上げても、一人前の職人にはなれません。また、成績評価についても、イギリスは日本に比べて非常に厳格です。学外審査員のことは、すでに触れましたが、試験の評点は原則、1点(あるいは0.5点)刻みです。卒業試験結果は平均点で1番からビリまで順位を付けられます。そして、学生は格付け(Class)されて卒業していきます。一等(First Class)、二等の上(Upper Second)、二等の下(Lower Second)、三等、等無し、不合格というように。一等を取って卒業しようと学生は必死で勉強します。なぜなら、一等を取らないと、卒業後の未来は無い(暗い)からです。まず、大学院には進学できませんし、一流企業への就職の道は閉ざされ、出世の早い官僚にはなれません。オックス・ブリッジではこの一等をとる学生は2割程度(3割はいかない)、ほかの大学では1割程度。レベルの低い大学では一等該当者はゼロというのは珍しくありません。ここにも、成績評価は厳格であることが表れていると思います。でも、皆さん、日本(の大学)も昔は厳格だったのですよ。大学に限らず、初等中等教育でも成績評価が厳格でなくなったとことと、偏差値が重要視され、一人歩きするようになったことは、同じことの両面なのです。いかなる社会でも競争があります。その結果(勝敗)を誰が判定するか。第三者が判定してくれない場合、当事者自身が判定します。その基準は「噂」、つまり「偏差値」です。最後に一言。室内(国内)練習ばかりやらないで、屋外(海外)で練習と試合をしてください。皆さんが世界中で活躍するのを私は期待しています。